無題

 たばこに火をつけて、ひとくち吸うと、ぼくは黒くて丸い灰皿のふちにたばこを置いた。
 無風の室内でたばこの煙は白い線のようにまっすぐ上に昇っていった。それはなんだかとても美しい光景のように見えて、ぼくは出来るだけ息を立てないようにそれを見ていたけれど、たばこはやがて燃え尽きて、灰皿の内側にぽとりと落ちた。